2010年1月23日付「産経新聞」の書評欄に小藤康夫著『大学経営の本質と財務分析』が掲載されました!(以下、書評本文)
定員割れの私立大はすでに4割を超え、一部では倒産という悲劇的な結果を招いています。大学も一般企業と同様に経営の原点に立ち返らざるを得ない状況。本書はそうした危機意識からまとめられています。
大学経営の構造と機能をわかりやすく説明、理事会と評議員会が本来の機能を十分に果たす必要性を訴えます。次に章単位で難解な計算書類を誰でもわかる形で整理し、そこから私立と国立の経営を比較、規模の優位性を見いだします。
読者にとって最も興味あるテーマは5章の資産運用かもしれません。ここでは多くの私立大が夢中になった仕組み債を扱っています。そして結びに、米国を参考に、大学を活性化する方法を具体的に描いています。日本の大学に慣れ親しんだ人にとっては刺激的に感じられると思います。
著者のご専門は金融論で銀行や生保等金融機関の破綻について研究されてきました。なぜ大学経営に関心を持たれたのかを尋ねますと、一昔前の金融界と、現在の大学の状況が大変似ているからだそうです。規制に守られていたから銀行も生保もつぶれなかったのですが、それがなくなった今では、競争による破綻が不思議なことではなくなりました。大学も外から保護されているから経営のことにあまり関心がなかったのでしょう。納得できます。
資料として巻末に主要大学の諸データが収められています。数値を眺めるだけで自然と各大学の特徴が浮かび上がります。これも本書の魅力の一つです。ぜひ、活用してください。