古い成文憲法を有し、世界170ケ国の憲法に影響を与えているアメリカ憲法。憲法自体は言葉としては少ないが、その下に政府、議会、最高裁が現実に生まれ育ってきた。本書は歴史上重要な位置を占めるワシントン、リンカーン、F.ルーズベルトの事績を主体に大統領史的に振り返る憲政史でもある。憲法史書にはあまり記されていない初期奴隷制度に遡った歴史的展開や先住民族との闘争にも触れる。超大国であるがゆえに注視されるこの国の成立ちを知り、史実を踏まえて世界政治への理解を深めてほしい。図書館「選定図書」に登録されました
目次
序 章
1. アメリカの憲法成立史を振返ってみることの、今日的意義
2. 地上の植物、現憲法と、その根っこ
第1 編 連合憲章と、それができるまでの前史
第1 章 植民州連合前史
1. 開拓者らの社会
2. 旧世界と新世界
第2 章 連合憲章(Articles of Confederation)
1. 結束の必要性と連合の模索
2. 連合憲章、その法律文書、政治文書としての働き
3. 革命戦争末期から制憲会議まで
第2 編 連邦憲法、その成立過程、内容と、南北戦争前までの展開
第3 章 憲法制定会議と各州批准会議
1. 制憲会議(Constitutional Convention) の召集と開催
2. 制憲会議での討論(debate)
3. 各州による批准会議や世論の動きと、成立した連邦憲法の特徴
第4 章 成立した連邦憲法の内容―三権分立と相互作用の骨格̶
一. 成文憲法主義(Constitutionalism)
1. 連邦憲法の下敷きとその書面化
2. 世界初の成文憲法として
二. 実定法としての紹介
1. 立法府について
2. 大統領(行政府)
3. 司法部について
第5 章 憲法の下での、初期アメリカにとっての内外の問題
一. 新生アメリカと憲法の修正
1. 憲法の下の新生アメリカ
2. 英仏との関係険悪化と、政党政治
二. 憲法の下の連邦の変化
1. 戦争と変容する(実績をつける)連邦
2. 条約と戦争と領土拡張
第3 編 19 世紀後半以降の憲法
第6 章 19 世紀アメリカの憲法史ハイライト(南北戦争と、人種問題)
1. 南北戦争と再建期の修正
2. 19 世紀後半の連邦と州の変化、多様性と、法による規律
第7 章 20 世紀の(現代における)アメリカと、主要な憲法事実
1. 19 世紀末から20 世紀初頭にかけての連邦と州の変化
2. 西半球の外とアメリカの憲政
3. 未来への模索と憲法の国際化
第8 章 現代の憲法問題―権力分立と司法審査の今̶
1. 憲法が定める三権分立と司法審査
2. 実定法と先例集積としての憲法(権力分立)
3. 憲法は二元国家をどう規律しようとするか(州と中央との権力分立)
参考文献・引用文献一覧 アメリカ歴代大統領年代表 法令索引 判例索引 事項索引(和文) 事項索引(欧文)