かつて日本では農作物の肥料としてウンチは再利用され、ウンチ循環型社会が自然と成立していた。ただし、衛生的にすべて再利用されていたわけでもなく、水質・土壌汚染を引き起こし感染症リスクを高めてしまうこともあった。現在、日本はトイレの美しい国と言われている。反面、あっという間に目の前から姿を消すウンチの排泄への意識は低くなってしまい、最終的に自然環境の中で処理をされているという意識が薄れている。経済学そして環境経済学という学問の力を借りて、現代を生きる私たちにとって必要な「持続可能なウンチ循環型社会」を構築していくヒントを探る
目次
第1章:ウンチ排泄・処理・再利用に対する意識(第1節:トイレットペーパー騒動から考えるウンチ排泄の必要性 第2節:災害時のトイレ問題が投げ掛けるウンチ処理の重大性 第3節:現地調査が伝える海外でのウンチ再利用の多様性)
第2章:持続可能なウンチ循環型社会のための経済学(第1節:ウンチの市場モデル 第2節:ウンチの余剰と外部費用 第3節:持続可能なウンチ循環型社会の条件)
第3章:過去のウンチ循環型社会がもたらした功罪(第1節:江戸時代のウンチマーケット 第2節:イギリスのナイトソイルマーケット)
第4章:ウンチを見える化する教育とビジネス(第1節:ウンチへの意識を高める環境経済教育 第2節:ウンチ排泄費用に気付かせたトイレビジネス 第3節:ウンチ処理・再利用費用に気付かせたトイレビジネス)
第5章:持続可能なウンチ循環型社会を目指して(第1節:ウンチの価値のプラス化は現代でも可能なのか? 第2節:ウンチに関する合理的な行動は可能なのか?)