①学問研究は個人的な生活史、主観的な関心からしか出発できない。そのためには社会の頂点から世界を俯瞰するのではなく、最底辺をから社会と世界を批判的に捉えること。②過去において様々な可能性を選択して現在があり未来もある。現在に至るためには必然的な理由とともに偶然的な条件もあった。だからこそ社会思想の史的探究を行うべき。③研究を論文にまとめることで、どこの世界で生きようと「よりよく生きる力」が身につく。以上3点をモットーに40年以上の歴史ある法政大学社会思想史ゼミナールの集大成となる社会思想史の論文集
目次
Ⅰ編:社会思想史へのアプローチ
1章:人類は生き延びていいか―社会思想史からRΣ7Eの問いかけ
2章:エロスの争い―18世紀末ブリテン急進主義と人口論
3章:ホワイトヘッドの抱握(prehension)とはなにか―事態の潜勢態をめぐって
Ⅱ編:ヘーゲルを読み直す
4章:ヘーゲル哲学と外化―世界をトータルに把握する論理
5章:若きヘーゲルの承認理論における労働と言語
6章:ヘーゲル1820/21年『美学講義』の絵画論と歴史的展示
Ⅲ編:地域学に臨む
7章:原発再稼働に関する意識調査―柏崎・刈羽村からの報告
8章:近代琉球の「境域」と政治文化―与那国郵便局成立史
9章:ソーシャルワーク論の地平―自己修復の優先性と代弁的発話行為
10章:戦後西ドイツにおける自動車中心主義の形成―その政治的根拠
Ⅳ編:社会学からの視点
11章:他者との通路の回復―自我をめぐる社会思想
12章:「言語法廷」あるいは「言語ゲーム」?―「世界言語」構築の試み
13章:社会学的想像力―私的体験から見える社会学の世界