江戸思想の中でもよく知られる石田梅岩の心学。彼の著作『都鄙問答』『斉家論』から、梅岩の経済思想やその基盤となる性理学を描出し、その石門心学を継承する手島堵庵をはじめとする弟子たちの思想について考究。伝統的な思想史学の方法に則った考察により、石門心学に対する新しい解釈を提示、真の価値を問い直し、その現代的可能性と限界を炙り出す
目次
緒言
第1章:石田梅岩『都鄙問答』における経済倫理思想―その現代的可能性と限界―
第2章:石田梅岩『斉家論』における道徳哲学の再検討―『都鄙問答』との比較を通して―
第3章:石門心学史における手島堵庵の思想的位相―外形的制約からの決別と「本心」―
第4章:中沢道二の心学にみる存在論的転回―石門心学の隆盛とその真因―
第5章:布施松翁における「知足安分」の心学と老荘思想―興隆期石門心学の一側面―
第6章:柴田鳩翁の道話と禁欲主義心学―石門心学の思想的変容と必然的退潮―
結言